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「ホップステップだうん!」Vol.194 が発行されました

今号の内容
・巻頭写真 「佐々木実さん」 江連麻紀
・続「技法以前」166 向谷地生良 「同期する生命-黒土の話」
・「せっかく引きこもるならこう引きこもれ!一頭の中の素醍醐味(粗大ゴミ)」 北村徹太郎
・のりの気まぐれ通信 No.5 案外バラバラだネ
・福祉職のための<経営学> 056 向谷地宣明 「at home good」「小さくあるという目的地」
・ぱぴぷぺぽ通信(すずきゆうこ)「気軽にどうぞ」

 

続「技法以前」166 向谷地生良

「同期する生命-黒土の話」

1995年に発表されたドキュメンタリー映画「ベリーオーディナリーピープル・予告編」で、べてるのイメージをきかれた私が「べてるは、黒土のような場」と語ってる場面があります。

ちょうど、帯広畜産大学の先生の「農業と土の関係」について話を聴く機会があったのと、たまたま訪れた農家の庭に積んであった黒土が、実は五年前は牛糞の山だったこと、それを野積みしているとミミズや様々なバクテリアなどが介在することで、貴重な黒土に変わることを知って、私たちの目指す場づくりのイメージになったのです。

「奇跡のリンゴ」で知られた自然栽培農家の木村秋則さんが語っていたことですが、「ひとつかみのよく肥えた土には、なんと1000億という単位の細菌が生息している」「ひと握りの土の中に、星の数ほどの微生物が棲んでいる」のだそうです。怒っている人がいたり、笑っている人がいたり、黙りこくっている人もいる、いろんな人がいて、場がホコホコする。そこで、生命が豊かに育まれる。そんなイメージをべてるは、模索してきました。昨今、「ティール組織」いわゆるアメーバーのような経営論が注目されているのですが、べてるは40年近く前から、それを実践してきたことになります。

つまり、組織づくりとは、土づくりにも似ているということです。「黒土のような組織」とは、どのような場なのでしょうか。ちょっと、思いつくままに書いてみます。

一つは、組織というと仕組みを変えるというイメージがあります。もちろん、それも大切ですが、まずは『「仕組み」を変えるのではなく、「関係」を変える』試みが大切になってきます。具体的には、「苦手な人、“嫌い”だと思った人の「こと」を批判しても、人を非難しない」ことです。私がチャレンジしたことは「陰口を大切にする。特に良い情報、前向きな話を陰口でつぶやく習慣」を持つことです。もっと大事なことは「困った時には、苦労の独り占めをしない。みんなで困る、悩むための工夫をする」ということです。浦河診療所の川村ドクターの持論ですが「先生のお陰で治ったと言われないようにする」に関係します。

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「人々の中へ」を記したジェームズ・イェンは、すぐれたリーダーの「わきまえ」については、もっともわかりやすく語っています。リーダーは、人を引っ張っていく存在ではなく、「仕える人」であり、「人を励ます人」(清水義晴)なのです。そのために求められるのが「いい結果、答えを求めて急がない。先の見えない不確かな状態を“機嫌よく過ごす”ことに注力する」ことです。川村先生も、診察場面を機嫌のいい場にすることを大事にしています。だから、人生や生活上の不平不満は、「仲間に相談すること」「診察室には、楽しい話を持ってきてください」ということになるのです。

最後に大事なのは「新しいことにチャレンジする時は、その場で一番、“情けない人”“目立たない人”を巻き込む工夫をすること-糠床を造る時の“かき混ぜ”にも似ている」です。これに、「認める・信じる・任せる」という水やりをコツコツ続けると場は、黒土のようにホカホカになるような気がします。

哲学とは「ドラマ」である
人間は、欲望や情念の渦巻く現実、ドラマティックな現実のなかで、哲学を通して、自己と世界について明察的であろうとする。このように、現実がつよくドラマ性を持っているので、ものごとを立ち入って考えるために、古代ギリシアにおいて哲学の発端が〈対話〉のかたちを取ったのであり、哲学の起源がギリシア悲劇にあったのである。
哲学が究極的にめざすべきは生命のリズム、宇宙のリズムとの一体化であり、そこから離れることが哲学にとって自殺行為である

中村雄二郎「対話的思考 野奇心・ドラマ・リズム 新曜社」

向谷地生良(むかいやち・いくよし)
1978年から北海道・浦河でソーシャルワーカーとして活動。1984年に佐々木実さんや早坂潔さん等と共にべてるの家の設立に関わった。浦河赤十字病院勤務を経て、現在は北海道医療大学で教鞭もとっている。著書に『技法以前』(医学書院)、ほか多数。新刊『べてるの家から吹く風 増補改訂版』(いのちのことば社)、『増補版 安心して絶望できる人生』(一麦社)が発売中。

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