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当事者研究の部屋 トップへもどる
Vol.038
救急車多乗かまってちゃんタイプの研究
自己病名「かまってちゃん病救急車多乗タイプ」 栃本岐枝



愛うさぎの「茶豆」と一緒に浦河に来ました。ペット可のホテルがなくて困ったそうです。


苦労のプロフィール
私は、室蘭市で生まれてすぐ今の両親に養女として引き取られて育ちました。
子供時代は友達の中に入れなくて「自分はいじめられているんだ」という誤作動が起きて、学校では授業にも出ることができなくて、授業が終わってから教室に戻るような生徒でした。
家では父親から「しつけ」という名目で暴力を受けていたこともあって、いつも父親の顔色を伺ってとても良い子の自分を演じていました。
そういう状態の家の中には安心がなく、中学生の頃から家出を繰り返したりしていました。高校は道内の高校に入学しましたが、授業についていけなかったり、人の中に居ても淋しさが募り、結局自主退学しました。
17歳の時に初めて精神科に入院し統合失調症(当時は分裂病)と診断され、一日に50錠以上の薬を服薬していました。薬の副作用で身体もろくに動かせない状態で入院生活を送り、精神科への入院は15年で33回に及びました。私の苦労の特徴は、退院すると、脅迫的に入院したくなることです。入院したくなると救急車を呼び、病院に運ばれるというサイクルを繰り返し、救急車には今に至る15年間で1250回以上乗りました。短い時は30分で病院から帰されますが、一日に3回救急車を呼んだこともありました。3、4年前にデイケアのプログラムで浦河に来て、べてるとの交流の中で当事者研究と出会いました。以後、べてるのメンバーとつながり、2010年のべてる祭り「当事者研究全国交流集会」で「救急車多乗の研究」として研究発表しました。


研究の目的
淋しさが募ると救急車を呼んで入院し、退院してもまた同じサイクルを繰り返すという自分の苦労(古い助け方)のメカニズムを解明し、この苦労と上手く付き合っていきたいと考え、仲間と一緒に研究に取り組みました。


研究内容
私には、たとえ人の中に居ても自分が肯定されないと淋しい(めっちゃ「さみしい」感じだからこっちの漢字!)と感じる苦労があります。淋しくなると「病院だ」「入院したい!」と思う自分がでてきます。
病院のスタッフは、自分の話をしっかり聞いてくれるし、私を否定したり責めたりすることもしないので、私にとっては病院が自分の家で、自分の住所が病院の住所になると、とても安心することができます。
そのために、まず家からちょっと離れたコンビニに行き、一応買い物客を装って、突然ばたんと倒れます。家の近所のコンビニだとその後の生活に支障がでるため、倒れる専用のコンビニというのを決めていました。そこでは一度も買い物はしたことがありません。店員さんは全員私のことを「救急車を呼ぶ常習者」だと知っているので、私が店内に入るともう受話器をもってスタンバイしているという状態です。私がいつもどおりちゃんと倒れると、待っていましたと言わんばかりに「大丈夫ですか?」と救急車を呼んでくれます。
来てくれる救急隊員にも私の担当の人がいて、いつも同じ対応をしてくれます。それからいつもの病院に運ばれて、入院となります。
入院は短いですが、長いときは2年に及ぶこともあります。
入院中は看護婦にべたべたしたり付きまとったり、長い時で3時間くらい話を聞いてもらったりしてやり過ごします。
でも最初に求めた病院への気持ち(淋しい!つながりや安心が欲しい!)が持続するのはせいぜい1ヶ月程度で、その後は「退院したい!帰りたい!」になって、模範患者を演じるか強制退院になる方法を考えて、結局退院を勝ち取ります。
退院すれば、またいつもの「淋しさ」に襲われ、同じサイクルを繰り返します。
べてるにつながり当事者研究をはじめたら、まず演技はヘタになってしまって、救急車を呼んでもらうテクニックが鈍ってしまいました。また、最近では淋しくなると行きたくなる場所が、病院からべてるや自分を語る場(札幌べてるの集いやFMのべてるの番組)に変わってきました。
今回思い切って浦河に来たときは、最初は予定や約束が通用しないべてるでパニックになり、自分の居場所ではない気持ちになりましたが、友達に「自分から閉じ篭ってるの?」と言われて「そうだ、自分はつながりに来たんだ、自分から心を閉ざしてちゃだめだ」と本来の自分の気持ちに気付き、べてるの共同住居に遊びに行きました。そこで仲間と一緒に話をして、のんびりした時間に癒される自分がいました。このとき「苦労しているのは私だけじゃないんだ」「ここでこれだけつながれるんだから、自分の町でもつながっていける!」と思い、仲間の「もう友達だよ」という言葉にほっとしました。
今私は、私の地元、苫小牧のみんなや病院にもべてるのことを知ってほしいと思っています。そして地域全体も変えていきたい、それが出来るのは私しかいない!と絶対実現できる夢を抱いています。
元々はここに住む覚悟で来ましたが、目的どおりにいかなくても、浦河とはつながっていけること、むしろ苫小牧で頑張るための「つながり」ができたと思っています。だから、はやく苫小牧で研究したいです。浦河とつながりながら苫小牧の人とももっとつながりたい、そのために当事者研究やべてるを利用したいと思っています。
これから苫小牧で同じ誤作動がおきたら、みんなに書いてもらったメッセージを見たり、連絡を取り合いながら研究していきたいです。そして苫小牧のデイケアを利用しながら、べてるともつながって、それで仕事がしたいです。
自分の助け方がちょっとずつ変わっても、「やっぱり入院したい」と思う自分がいます。でも入院したら仲間とつながれなくなってしまう。
でも今は「弱い自分」で人とつながれる生活があって、私にとってはそれが「弱さのつながり」だと思っています。浦河に来てそのつながりが確認できたと思います。助け方が変わり始めた事で、当たり前の苦労(お金、家の掃除、近所づきあいなどの人間関係)が出来るようになりました。また、研究することで栃元という覚えづらい名前をみんなが覚えてくれて、とても嬉しいです。



栃元さんがキャラクター化した「淋しんぼ君」と「かまってちゃん」。


最後に
同じような苦労をしているみんなに、心から「ご苦労さん!」と言いたいです。これを読んでくれた時点であなたも同じスタート地点にいます。これを読んだことで、もうつながっているのですから。


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